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この記事は2017年6月18日に更新されました。

 

体内に腫瘍がある。これだけで多くの人は驚きを隠せなくなるものです。だとすれば子宮に腫瘍ができたなんて、これから出産を考えている人にはなおさら衝撃の大きい言葉。子宮筋腫を抱えた状態での妊娠、出産についてみていきましょう。

 

子宮筋腫とは

子宮筋腫とは「子宮内にできた良性の腫瘍」のことです。生命に危険を及ぼすほどのものではありませんが、生理周期の乱れや下腹部痛、月経時の出血量の増加などがあります。中には貧血になる方もいますので、筋腫が大きくなると体に与える影響は大きいといえるでしょう。その大きさやできる部位によって大きく分けられるのですが、実は多くの女性が子宮筋腫を持っている可能性があるとされています。

 

真相が分からない?子宮筋腫の謎

子宮筋腫の発生メカニズムはいまだ不明と言われていますが、子宮筋腫は女性ホルモンであるエストロゲンが大きくかかわっているとされています。月経がはじまるとエストロゲンが多く分泌されますが、エストロゲンが子宮筋腫を大きくさせたり発生させたりしているのではないか、という説があるのです。実際、月経が始まる以前は子宮筋腫の症状が全くなかったり、閉経後に筋腫が小さくなったりということがあるようですが、確実な原因解明には至っていません。

また、子宮筋腫は大きくなって身体的な影響を及ぼすこともありますが、半数以上が無症状なため、特に問題なく生活できる方もいます。つまり、潜在的な子宮筋腫り患者を含めるとごく一部の女性に限られた特別なことではないのです。

 

妊娠中に発覚することもある

子宮筋腫は妊娠中に発覚することが多いのですが、それは妊娠中さらにエストロゲンの分泌量が増えるから、とされています。もちろんこのときであっても痛みや出血量の増加がみられたから発見、というパターンばかりではありません。検査を行った結果見つかった、ということも大いに起こりうるのです。

妊娠中に子宮筋腫が合併する確率は、0.45~3.1%です(参考:日本産婦人科学会「クリニカルカンファレンス(一般診療・その他);5.婦人科腫瘍合併妊婦の取り扱い1)子宮筋腫)」)。

 

妊娠継続はできるの?治療は必要?

妊娠していないのであれば思い切って治療に踏み出すことも出来ますが、妊娠しているとなると赤ちゃんへの影響が気になってしまいますよね。ほとんどの場合は筋腫があっても無事に出産に至っています。余程大きな筋腫でない限り、胎児への悪影響はありませんし、筋腫があるからと言って必ずしも難産になるわけではないのです。

子宮筋腫があっても、無事に出産できるかどうかは、筋腫の場所、大きさ、数によって違ってきます。子宮筋腫は、お腹の赤ちゃんが大きくなってくる妊娠中期には、だんだん柔らかくなってくるため、胎児の発育の邪魔にはならないと言われています。ですから、基本的には、筋腫を残したまま、妊娠を継続させるケースがほとんどです。

しかし、中には、子宮筋腫の場所と着床した場所の関係や筋腫の状態によっては、妊娠継続が難しいと判断されるケースもあるようです。

出産にあたっては帝王切開を余儀なくされることもありますので、腫瘍の進行具合については医師と常に確認するようにしましょう。自然分娩が全くできないわけではありません。ただし筋腫が大きく出産に大きな障害となりそうな場合や多量出血が想定される場合には自然分娩より帝王切開となる可能性が高くなります。

 

妊娠中の注意点と抱えやすいトラブル

<妊娠中の生活は他の妊婦さんと同じでOK>

子宮筋腫があるからと言って、特別に神経質になる必要はありません。筋腫が無い場合よりも流産や早産になりやすい傾向はあるものの、基本的には他の妊婦さんと同様に生活してください。きちんと定期健診を受け、食事を摂り、適度な運動を心がけましょう。

<逆子になる可能性がある>

子宮筋腫の位置によっては、赤ちゃんが逆子になるかもしれません。この場合、自然分娩ではなく帝王切開による出産となります。

<筋腫の変質による流産や早産>

稀に子宮筋腫が変質することがあります。その変質によって子宮に収縮が起こり、流産や早産の原因となる可能性があります。

 

こんな場合にはすぐに受診を

筋腫への血行が悪くなると、お腹に痛みが走ることがあります。腹痛を感じた時は、係りつけのお医者さんの診察を受けてください。大抵の場合、安静にしていれば痛みは治まりますが、痛みの刺激によって子宮が収縮を起こしてしまうこともあります。その場合、子宮収縮を抑えるための薬が必要になります。場合によっては、管理入院になることもありますが、赤ちゃんのためと思って、安静に過ごしてくださいね。

 

出産のとき、どんなリスクがあるの?

子宮筋腫があると、早産になりやすいですし、出産時、出産後のリスクも高くなります。子宮が収縮しにくくなるため、出産時、出産後には、次のようなリスクがあると言われています。

<微弱陣痛>

陣痛が弱くてお産がスムーズに進みません。

<弛緩出血>

胎盤が出たあとに出血が起こります。大量出血を起こして輸血が必要になることもあります。そのため、あらかじめ自分の血液を採取しておく場合もあります。

<子宮復古不全>

悪露が子宮から排出されにくくなったり、長引いたりします。子宮内膜症や筋腫の細菌感染を引き起こす場合もあります。

このように、リスクが高いとなると、やはり設備の整った病院での出産が望ましいといえますね。

 

治療や対策は?

後々、子宮筋腫が分娩を阻害することが分かっていたとしても、基本的には経過観察となり、妊娠中に子宮筋腫の手術を行うことはありません。痛みやお腹の張りといった症状があった場合に対処していく方法が主に取られることになります。ただし、有茎漿膜下筋腫(チューリップの様に茎が付いている筋腫)が茎捻転(茎が捻れている状態)を起こしている場合は母体が危険なため、安定期以降に手術を行うことになります。

また、通常は、出産時に筋腫の摘出手術を同時にすることはありません。妊娠中は、子宮の血流が多くなっていますので、出産のときに筋腫を切除すると大量出血する可能性が高いのです。それは危険を伴いますから、取っても大丈夫な位置にあると医師が判断したときだけ、帝王切開と同時に、摘出手術を行うことが稀にあるようです。

 

難産や早産の可能性を高めることもありますが、一方で子宮筋腫を物ともせず、無事に出産を終える方も多くいます。というより、無事に出産を終えることのできる割合の方が高いことも事実です。何より早期発見と適切な対処が大事です。

 

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